特集味彩工房 vol.1 暦を越える、長沼の彩

後編:美味しさを作り、彩を残す

ピクルスを美味しくするひと手間

ピクルスの2つ目の特徴。それは細やかで丁寧な仕込み作業です。

漬け込まれた白玉ねぎ
漬け込まれた白玉ねぎ
(写真はクリックで拡大)

改めて瓶詰作業します
改めて瓶詰作業します

まず、味の決め手となる調味液。
工藤さんは、男性やお子さんなどお酢が苦手な人にも召し上がって頂けるよう、酸味とスパイスを抑えたマイルドな味付けにしていますが、野菜の美味しさを最大限に活かせるよう、野菜の種類によって調味液の配合を細かく変化させています。

次に、野菜の美味しさを最大限に活かす漬け込み作業。
食べ頃を迎えた野菜は時間を待ってくれないので、都度すぐに下処理をして調味液に漬け込み、まずはその美味しさを逃がすことなく封じ込める。
そしてこの際、野菜から出る水分で調味液が薄まってしまうことから、二度手間にはなりますが、その後改めて新しい調味液を注ぎながら瓶詰めを行います。

ひと瓶ずつ丁寧に
ひと瓶ずつ丁寧に

そして、丁寧な野菜の下処理。
ミニトマトであればひと玉ずつ湯むきして皮を取り除き、アスパラであれば下ゆで前に一度皮を剥き、さらに下ゆで後にも皮を剥くことでシャキシャキとした食感を残す。どのピクルスの下処理にもこんな細やかな「ひと手間」が見てとれます。

「ミニトマトも皮を剥かなければどれだけ楽だろうかと思うのですが、召し上がって頂く時に皮は邪魔だし、そのひと手間かけることで美味しくなると思うのね。こういうことは嫌いじゃないから出来る限り続けていきたいと思っているんだけど、ただ、そうすると手間がどんどん増えちゃうのよね(笑)」

美味しいピクルスを届ける。そのために工藤さんは、ひと瓶のピクルスにこれだけの工程を込めています。

季節が足早に移ろうとも

「販売を始めた直後は買って頂けるだろうかってドキドキしたのだけど、すぐに『美味しい』って買って頂けるようになったんです」

長沼の彩と美味しさを込めて
長沼の彩と美味しさを込めて

平成15年のイベントをきっかけにスタートした工藤さんのピクルス作りは、幾度となく試作を繰り返した後、平成20年から販売を始めることに。
今回お話を伺った平成24年の夏で、販売を始めてから4年。その間、工藤さんはたくさんのお客さまとエピソードに恵まれます。

「セロリの嫌いな旦那さんが、このピクルスのセロリなら食べられる!って喜んでもらったり、胃の調子が悪くて食欲の無かった人から、ミニトマトのピクルスを食べたら胃が元気になった!ってお礼を言ってもらったり。私こそ『買って頂いてありがとうございます』なのに、お客さまからすごく美味しかった、ありがとうって直接言って頂ける機会が多くて凄く嬉しかった」

そして工藤さんのピクルスには、美味しいと喜んでもらうことに加えてこんな願いも。

彩りよく瓶詰をして完成
彩りよく瓶詰をして完成

ピクルスの賞味期限は1年間
ピクルスの賞味期限は1年間

「今、食育ってあるでしょ?私も子供の頃すごく食べ物の好き嫌いが多かったのだけど、好き嫌いって最初は見た目なのね。見た目が美味しそうでなかったら、子供は食べる気にならない。
だからお母さんには見た目を大事に、出来れば子供と一緒に料理を作って食べてもらいたいのね。このピクルスもそのまま食べるんじゃなくて、子供に手伝ってもらいながら、刻んでサラダにトッピングしたりパンに挟んだり、彩りよく食卓に出してもらいたいなって」

かくして作り上げられたピクルスは、常温で1年間保存することが可能。工藤さんはこうして、原点である「1年を通して長沼の野菜を召し上がってもらう」ことを実現させました。

季節が足早に移ろうとも、ピクルスの蓋をパコリと開ければ、そこに長沼の美味しさと彩、そして「美味しいと喜んでもらいたい」という工藤さんの気持ちが皆さんの食卓に広がります。

長沼スキー場から 夏の長沼町を望む

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