特集味彩工房 vol.1 暦を越える、長沼の彩

前編:長沼町で作られる美味しさを

1年を通して召し上がって頂くために

味彩工房の工藤よし江さん
味彩工房の工藤よし江さん
(写真はクリックで拡大します)

「小さな時は長沼に対して『こんな田舎…』って思っていたけれど…」

味彩(あじさい)工房でピクルスを作る工藤よし江さんは、生まれも育ちも北海道長沼町。札幌から車で東に1時間程度離れたその生まれ故郷についての感想を尋ねると、まずは冒頭の答えが返ってきました。

ただ、長い時間を長沼で過ごし、今はまた違う印象であると工藤さんは続けます。

「でも今はすごく良い場所だなって思うの。札幌や千歳にも近いし、何より野菜が安くて美味しい。長沼の農家さんはこだわりを持って頑張っているので、なんとか応援したい、たくさんの人に長沼の野菜を召し上がって頂きたいと思っているんです」

長沼町の田園風景
長沼町の田園風景

この「長沼の野菜を召し上がって頂きたい」という気持ちこそが、後々の味彩工房の原点。
長沼は札幌から距離が近いために農家とお客さまの接点も多く、作り手の「味」への意識が特に高い地域です。そのため食に関するイベントが度々開催され、これがある時、工藤さんにとって大きなきっかけに。

「平成15年に長沼町でフードフェスタが開催されて、野菜を使った料理の出品を頼まれたのだけど、時期が3月だったから玉ねぎやじゃがいもぐらいしか野菜がなくて。その時は玉ねぎのグラタンを作ったりしたのだけれど、それがきっかけで『夏に採れた野菜を1年中美味しく食べる方法はないだろうか』って考えるようになったのね」

季節を越えて、いかに年間を通して長沼の野菜を美味しく召し上がっていただくか。
スープ、漬けもの…といったいくつかの候補の中から工藤さんが最終的に選んだもの、それがピクルスでした。

「余った野菜ありき」ではなく

工藤さんが作るピクルスには、2つの特徴があります。1つは、素材となる野菜そのものの美味しさです。

ミニトマトの収穫作業中
ミニトマトの収穫作業中

栽培管理は旦那さんが協力
栽培管理は旦那さんが協力

工藤さんは、ピクルス作りの原点である長沼の野菜を利用できるよう、町内で美味しい野菜を作る農家から仕入れをしていますが、ピクルスの種類が増えるにつれ、もう1つのステップへと踏み出します。

「初めは信頼できる町内の農家から野菜を仕入れていたのですが、豆のピクルスに入れる14種類の豆を揃えるのが大変だったり、白玉ねぎのサイズがどうしても希望より大きくなってしまったり、収穫時期が集中したりと色々不都合が出てくるようになってきたんです。
でも、豆のピクルスに入れる種類は減らしたくないし、白玉ねぎもひと口サイズの方が見た目も可愛いし、何より美味しい。欲しい野菜が手に入りづらいのだったら、もう自分で作ってしまおうと農家さんから畑を借りて、自分で栽培することにしたの」

自家菜園で収穫した野菜類
自家菜園で収穫した野菜類

トマト、玉ねぎ、パプリカ、豆類、ズッキーニ…。ピクルスだけでなく、野菜そのものから作るという工藤さんの取り組みは、ハウスと露地、二か所の畑を借りて、20種類近い野菜を極力農薬を使わずに栽培する形にまで拡大。
定年を迎えた旦那さんの協力を得て二人三脚で美味しい野菜を作り、農家から仕入れる野菜と合わせてピクルスの材料にしています。

近年、規格外の余った野菜を利用するためにピクルスを作る、という取り組みが各地で見られますが、工藤さんのピクルス作りは、こうした「余った野菜ありき」ではなく、ただただ美味しいピクルスにするため、野菜作りの段階からスタートしているのです。(後編に続く

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